総合企業ランキング NICES

　日本経済新聞社が中心になってまとめた「NICES（ナイセス）」という総合企業ランキングがあります。「投資家」、「消費者・取引先」、「従業員」、「社会」、「潜在力」の企業の社会的責任 (Corporate Social Responsibility; CSR) に関する５つの側面で総合力が評価されています。各指標は20点から200点の整数値であり、「NICES」はそれらの総得点による総合ランキングです。

総得点でランキング

　「NICES」は、2010年12月9日と2013年11月29日の日本経済新聞に300位までの各側面の得点と、上位8社についてはレーダーチャートも添えて掲載されました。表１と図１に発表された2010年の上位８社の総得点とレーダーチャートを示します。

許諾番号　30087640　日本経済新聞　2010/12/09

　図１の総得点順のレーダーチャートをみていくと、順位とレーダーチャートの対応に違和感を覚えます。私たちがレーダーチャートをみてとらえるのは、形と大きさで表される全体の特性であり、各側面でバランスよくどれだけ得点できているかという総得点では表されない特性です。そのため、総得点順でレーダーチャートが示されると、順位に疑問が湧くこともあり、どうとらえたものかと困惑してしまいます。

　これらの５つの側面はCSRに関する項目であり、「NICES」の目的は、持続可能な社会の実現に向けたCSRの取り組みの評価と考えられます。さらに、バランスよく高得点となるような取り組みが求められるため、その確認に上位８社のレーダーチャートが掲載されたものと推察します。

RADAR CHART POWERでランキング

　バランスよく高得点のレーダーチャートはパワーが強いとして、パワーを数値化した指標 RADAR CHART POWER (RC-POWER) ®で、図１の上位８社をランキングしてみましょう。表２と図２は、 RC-POWERでのランキングとその順位で並べたレーダーチャートです。

　 図２は、バランスよく得点の高いレーダーチャートの順であり、私たちの観察と一致していて、違和感はなく、このランキングに納得できます。

　RC-POWERは、レーダーチャートの形と大きさから計算された、バランスよく高得点かを示す指標であり、すべてが満点の場合に対するパーセンテージで求められています。５項目のレーダーチャートについては、RC-POWERを求めようで計算していただけます。

　RC-POWERは、各側面からいかに多く得点していて、かつ各側面からいかにバランスよく得点しているかを示しています。したがって、RC-POWERは、企業がどれだけ熱心に偏りなくCSRに取り組んでいるかの程度を表すことができ、このランキングは偏りのない熱心な取り組みの順と言えます。

企業の社会的責任を果たすために

　図３に2010年と2013年の上位８社の総得点とRC-POWERを示します。

それぞれクリックで拡大

図３　上位８社の総得点とRC-POWER

　両年で１位の企業は、総得点とRC-POWERでともに１位ですが、それ以外は総得点とRC-POWERでの順位が一致していません。総得点はほぼ等しくても、RC-POWERでは顕著な差が認められるものもあります。
　ひとつの会社に対して求めた総得点とRC-POWERでは、計算された特性は異なっていると示唆され、総得点とRC-POWERでは、異なる観点でのランキングと考えられます。
　RC-POWERでのランキングの特徴については、RC-POWERでランキングもご覧ください。

　CSRを果たし持続可能な社会に貢献するには、複数の側面でバランスよく高得点となることが求められ、レーダーチャートはその視覚的な確認に適しています。
　レーダーチャートの形と大きさから計算された、バランスよく高得点かを示す指標 RC-POWERは、その定量的な確認にふさわしく、偏りのない取り組みの目安になります。

　 持続可能な社会の実現につながるような経営目標を達成するには、複数の側面で目標に合った得点設定が必要になります。RC-POWERと総得点で、全体のバランスを改善しつつ、目標得点に必要な各側面での得点を算出することができます。
　目標達成のための得点設定について、詳しくはお問い合わせください。お問い合わせはこちら